びーすけ工房でひとやすみ

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上野村訪問

 早春に冬の名残の風の中、群馬県上野村を訪ねました。
 
 上野村と聞くと、34年前のJAL機御巣鷹の尾根墜落の惨事を思い出してしまう。昭和時代最後の頃の人命にかかわる最大の事件でした。静かな山村は騒然となり、そして今日なお犠牲者を弔う人々の記憶が消えることはありません・・・。
 
 この村に入るにはどの幹線からも1時間は要します。それでも国道462、299などの整備が継続されており快適に訪問でき、観光シーズンはけっこう賑わうようです。ただし、大きなスーパーやコンビニはありませんので当てにしていると困ることになります。
 
 村の人口は約1800人。哲学者の内山節氏が在住し、彼の自然観に立脚した社会、文明論を発信しています。

 最近になってこの村に興味を持ったのは、上野村森林組合などが中心となった″木工芸による村おこし″を一度見てみたいという関心からです。
 
 村の工芸館に連絡をすると、森林組合の課長さんが親切に対応してくれて、訪問時には一般にはあまり公開されていない工場なども案内して頂けて大変勉強になりました。
 
 自分も下手な木工のグレードを上げるべく、木材を少しばかり調達させていただきました。
 
 
 一方、昔登山をしていた私にとってこの山域は特別な感情があります。中学生時代、秩父周辺を歩き回っていた頃は、埼玉県の最奥の両神山や二子山はバスを乗り継ぎ、何か冒険を感じながら通っていました。
 
 その後大学生となり、武甲山石灰採掘現場の緊急発掘などにもアルバイト参加したり、変わり果ててゆく自然環境に複雑な思いを抱きながらも、何も出来ない自分の情けなさを、それは現在も持ちつつ過ごしてきたのです。
 
 そして今回、藤岡市方面から上野村にアプローチしたのですが、変わり果てた叶山が眼前に現れ、正直愕然としました。武甲山同様で石灰岩の叶山は以前から採掘されていたので、両神山などからその様子は遠望していたのですが、里から見上げたのは久しぶりでしたので、その変わりようには・・・。
 
 この国の経済にコンクリートが必要不可欠であることは仕方がないのでしょうが、この山奥の風景がこのようなことになってしまうことに、実は地球上全体に同様なことが起きているのだということを、小さな日本列島からもイメージできると、そう感じ取る必要があるのだろうと感じます・・・。

※「武甲山」「叶山」画像検索で現在の山の姿が沢山見られます。

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