「オフポンプによる心臓冠動脈バイパス手術」
執刀した天野教授(順天堂大)は「神の手」を持つそうです。
今は大学教授ですが、これまで方々の病院を渡り歩いて腕を磨いたそうです。
詳しいことは分かりませんが、「天皇陛下」の手術ということで、絶対に失敗してはならない東大という権威が、現場主義の市井の名医を選んだということでしょう。
もっとも、3000件以上の同様の手術をこなし、ほぼ100%の成功率という実績、その数字に依拠するところは権威的なのかも知れませんが。
つまり、人間よりも数字重視。
昨年来の天皇、皇后の東北被災地巡りは、不快な皇室報道が多い中で、老躯をおして何度も出向く天皇、皇后の痛々しさと被災者の苦悩が重なり合うように思え、申し訳なく、同情的でありました。
予定される退院後の3月11日には早くも震災後一周年行事に出られるかどうかが紙上で取り上げられていますが、少し呆れました。
どこの世界に、78歳で心臓の大きな手術をした人に、退院直後に大勢の前で仕事をさせる国があるでしょうか。
今週にはリハビリもはじまるそうです。最近は、患者をいつまでも寝かせておかず、すぐにリハビリすることが恢復を早めるというのが一般的なようですが、そのこととは別問題のような気もします。
無茶苦茶に搾取されて低賃金で働かされる日本の労働者の、まさに「象徴」のような状態です。
みんな精神的余暇もなく、無自覚に命をすり減らして生きていますが、天皇も同様に扱われているようです。
天皇制とか、天皇の権威とか、そういうイデオロギー的な問題は横に置くとして、国民がまごころで受け入れられる権威とは、間違いなく現場主義の権威ということかと思います。