びーすけ工房でひとやすみ

思うことをびーすけ工房からお送りします。

 下山の思想

 ベストセラーになっているそうです。
 
 昔、「清貧の思想」というのもありました。
 
 バブル崩壊後の消沈した雰囲気の中で、熱にうかされた時代よりも、むしろ自分を見つめやすい時代になったのだと思えました。
 
 下山の思想は、その見つめ直した自分の、さらにその先を見ようというメッセージが込められているように思います。
 
 作者五木寛之さんの本は、うつむいている人間の中にある、静かな情熱とか、または野心を感じさせるものが多いように思えます。
 
 ということで、この「下山の思想」は、清貧=清らかな諦観?ではなく、かなりドロドロとした、次への願望を感じます。(違いますか?)
 
 これは、現在、国際社会の中に置かれている日本の立場そのもののように思えます。
 
 敗者はいても勝者はいないのが現在の世界。
 
 日本は、勝者は目指せないものなのだということに気づいた最初の国家かも知れません。
 
 一部の人たちは「リベンジ」を考えていて、あちこちで叫んでいますが・・・。
 
 大多数の人々は、勝者に疑問を持ち、敗者(失敗)であることを認め、ちがう次を熱望する、静かな魂の広がり、浸透を期待しているのではないでしょうか。
 
 新しいネット社会の細い道筋が少しずつ増えて、線が網になる近い将来、現実が表出することでしょう。