もう、アンケートの時代は終わったのでは。
顧客が何を求めているか。
それを知ることは企業にとっては利益につながることであり、買う側も、優良なサービスが供給されれば、有料であってもそれは納得できる対価であります。
「市場調査」の様々な手法が編み出され、それ自体も産業になって、挙げ句の果てには抜き出された個人情報までが商品になってしまいました。
そして、ITがそれを加速しています。
こんな社会現象を後追いしているのが行政です。
どこかの知事が「企業的発想」でみたいなことを言ってしまったので、役人達は競ってそういう仕事をやり始めたのでしょう。
行政では「実態調査」という言い方になります。
現場の裁量権を次々に剥奪して、トップダウンで事をすすめようとしている今の教育行政では、これが嵐のように起こってます。
生徒指導、保健関係、IT関連、進路指導等々、上が縦割りなものだから、書式を変えて同じような調査が幾つも落ちてきます。しかし受ける方は一人です。
学校経営に精通する有能な教頭は、ヒラ教員が教育活動に専念できるようにと、自分で処理します。別な意味で有能な教頭は、ヒラに仕事させなければと、自分のハンコだけ押して人の机の上に置いていきます・・・。
さぞかしすばらしい回答が上に行くのでしょう・・・。
今日、家のポストに市政に関するアンケートが放り込まれていました。
長年一つの場所に暮らすと、自治体行政に対して意見を出す機会が幾度かあるものですが、普通、市民の意見というのは個人的クレーマーを除けば、大抵は的を射るものが多いのですが、30年、この地に暮らして、それらの回答の結果として、
「ああ、いい仕事してるなぁ」
と思えたことは殆どありません。
現場労働者に、一般市民に、最前線で働き暮らす者達に対して、椅子に座って紙で調査の仕事をするだけで、しかも、一向にその結果を出せない、むしろ無駄な仕事ばかり発生させている、そんな“似非仕事”をしている彼らの存在こそが最大のアンケートの対象物であるといえます。
そんな彼らを心身ともに救済する道があります。
紙のアンケートをやめて、たとえ若干の経費は出ても、直接現場に出向かせて、取材方式の“実体”調査をさせること。
先日、「ガイアの夜明」で、アイリスオーヤマが現場に女性調査員を派遣し、直接客と向き合って様々なニーズを実感的に体得し、瞬時にそれをFAXで本部に送り、瞬時に商品開発に向かう、という業態が紹介されていました。
わずか三行半で紹介できてしまいます。
この番組を見たとき、年に1度来るかのか来ないのか、指導主事とか呼ばれる半分教育職、半分行政人のような中途半端な人たちが、現場の私たちに顔を合わせることもなく、管理職とこそこそやって、逃げるように帰っていく後ろ姿を思い出してしまいました。
そして、後日、また沢山の紙が送られてくるのです。