またやってくれました。
「沓掛」(くつかけ)という地名をご存じでしょうか。
昔の話です。
信越線の各駅停車に乗って、信州の山に向かう途中、軽井沢を通過して直に中軽井沢に停車します。夕方近い時間だったと覚えています。夏の終わり、秋の気配の感じる沿線に残照の浅間山が聳えていました。
たまたま、その短い時間の中で、この駅が、自分が生まれた年、1956年までは「沓掛駅」であったことを知り、その名前の由来が、中山道の難所碓氷峠を前にして、旅人が宿所としたところということです。隣地の「追分」と同じで、昔の旅情を彷彿とさせる地名ですね。
この地名変更には批判もあったようです。いろいろ理由はあるとしても、地名の消滅は歴史の抹消であるともいえます。
平成大合併も閉口します。
南アルプス市、山梨市、甲州市、甲斐市、北杜市、笛吹市
2000年以後、山梨県に出現した地名ですが、山梨県は登山で馴染み深いのですが、頭の中の地図が滅茶苦茶にされました。
甲斐と甲州と山梨って、同じ場所でしょっ。
日本中がこんなことになってしまった。
「美しい国」とか言ってた愚かな首相もいましたが、何を言ってるのあんた、という感じですね。
政治・行政がこんなことするので、庶民も地名を大事にしなくなってしまいました。
「業平(なりひら)橋」駅から、在原業平を連想するのはたやすいです。直接的ではないにしろ、そこから人はいろいろな発想を過去に巡らせるわけです。