今日のニュースから。
「自閉症の小6通知表に『斜線』」
こういうニュースが、どういう立場で、どういう解釈で流されるのか、教育現場にいる一人として考えさせられます。
夜間定時制のように、現実、小さな共生社会にいると、これまた現実、どうにかなる部分があります。
ところが、昨今定時制の廃校続きで、残った定時制に定員を超える生徒が集まってしまうと、どうにかならなくなります。
田舎の方の定時制は、予算効率が悪いということで廃校、そしてまた廃校にして行きます。
つまり小さい人数だからこそ共生が可能であった夜間定時制を消去させることは、一方で「特別支援教育」に予算を振り向けることで、そちらの方向への誘導があるのかと思ってしまいます。
もっとも、勤労青少年の学舎であった定時制が変質してしまったことにも問題があるわけですが・・・。
標題のようなニュースが出る背景がここにあると思います。
小学校の「通級」は、義務教育の基盤の上に成り立っていますが、高校ではその義務がありません。
中途退学者の嵐ということになる訳です。
その受け皿が夜間定時制でもあった訳です。
義務教育時代に殆ど学校に行けなかった若者もやってきます。
それでも通知表に斜線が入るようなことはありません。
“独立国”だからどうにでもなるのです。
日本の学校教育制度に“そういうにおい”のする救済の場があったことは実にスゴイことだと思っていました。
そして、学校教育制度が、救済のために新たに準備するものが、必ずしも救済にならない現実も生む、こういうニュースが出てしまいます。
もう、“かつてのゆとり”といっても良いかも知れませんが、どうもせっかく出かかったものを踏みつぶしてきた感があります。
現場教職員が“向上”を再び至上命題にされてしまったので、古い時代にあった差別意識が、今度は制度の欠陥の中に見え隠れする時代になってしまうような気がします・・・。