びーすけ工房でひとやすみ

思うことをびーすけ工房からお送りします。

次の対策が来ました


 言ってる側からもう来ました。
 
 
 10月23日、各紙報道。


 県と県教委「いじめ総合対策」〜「いじめ撲滅宣言」〜「いじめ問題対策会議」と続き、「保護者に初のアンケート」〜「県立学校で来月実施」〜「狙いは早期発見」と続きます・・・。
 
 
 どんどん屋上屋がかかっていきます。
 
 
・・・「校長OBら派遣へ」・・・


 私としては、どうもここだけは引っ掛かりますね。


 というのも、現場に33年間いて18人の校長の下で働いてきましたが、その間担任、学年主任、生徒指導主任など、生徒指導に直接関係する仕事にも随分かかわりましたが、その時々の校長で、現場の中のさらに現場に直接かかわろうするタイプの校長はいませんでした。
 これは悪い意味というよりは、現場は担当者を中心にスタッフに任せるという意味合いがあったと理解しています。
 つまりは、今回の“校長OBら派遣”も、“いじめ現場”の最前線の任務ではないだろうと想像できます。学校と地域・警察などとの連携をコーディネートするのかなぁ〜という・・・
 
 なるほど退職校長の第二就職先が不足しているとも聞きますので、一石二鳥ともいえます。
 
 
 ただし、これは、実際問題大変な重責になると思いますが、すすんで名乗りを上げる人がいますでしょうか?
 
 
 これを、学校現場の一例として再現してみると、
 
 
 経験上、たとえば“大変問題を抱えた生徒”の進路変更を指導する時に、それはつまり世間でいう退学勧告ですが、生徒指導主任とか学年主任などがその最前線に立ちます。しかし、事前に職員会議で方向付けを承認してもらい、そして最終的には「校長これで良いですか」と決済を受けます。
 私たちはそれを盾に“あらがう”生徒・保護者に対峙し、一歩も引かない態度の中に学校教育の厳しさ、すなわち人生の厳しさを教えます。組織決定した事柄は、情状によって私個人の考え方で曲げることはできません。退学させることも教育であるという理念で突破します。
 
 
 経験上、この理念を“人道的(人権?)”に反対、否定する教員も多数存在しますが、当然のことながらその人々は“汚れ役”は引き受けません。
 
 
 最終的には生徒・保護者にその理念を納得し、前向きな意識になってもらえるようにします。そのため、その場は形式的な申し渡しの儀式ではなく、2時間でも3時間でも、時には4時間超えてもとことん話し合いをしました。
 
 
 大抵、責任者である校長はそのような容易でない場にはいません。
 
 
 別の意味では、それも正解なのですが、
 
 
 ただ、唯一、そういう非日常的な緊張の時間を持ち堪えるスタッフの考え方や感情、精神的なストレスを正しく認識し、その彼らを物心支える英邁さは要求されます。しかも、“汚れるが、しかし戦力”という人材がどんどん現場から去って、いわゆる現場力の低下が現下の状況であると考えれば、このコーディネートは、もっと根本的な問題解決が迫られるかも知れません。
 
 
 つまりは、このいじめ対策というのは、机上の空論では困るのであって、生身の人間が現場で取り組むのであって、そのコーディネート役が、上記のような資質を持ち合わせていなかったりした場合は、それこそ、
 
 
「ああ、所詮天下りか」


 と言われてしまうので、それだけは避けたいと思うわけです。