びーすけ工房でひとやすみ

思うことをびーすけ工房からお送りします。

退職して3年目

 定年後も再雇用等で働く人が増えています。
 
 学校教員も現役時代それなりに消耗とストレスのかかる仕事をしていた割には、8割近くが再任用で続行しているようです。其のうち2割がフルタイムで残りが週3程度の雇用形態です。
 
 私は60歳できっぱり退職し再任用にも応じませんでした。そしてそれから2年が経過しました。
 
 中には、定年で現場を去りながら、1、2年後に再任用に応じて再び現場に戻る人もいます。
 
 働こうと思えば65歳までは働かせてもらえますので、恵まれていると云えるのでしょうが・・・。
 
 生計のことを考えれば、働くのは普通だと思います。しかも、ずっと続けてきて慣れた仕事ならば尚更でしょう。
 
 一方、退職金や年金は減額、支給開始の繰り下げ等々で現役時の給与から考えると、62歳支給開始の年金額で3分の1以下になります。ある程度の貯蓄をつくって置かなければ70代~80代への展望は見えなくなります・・・。
 


 完全退職・・・
 
 代わりに手に入れた自由な時間とはどんなものでしょう?
 
 この2年間、何をしていたか。
 
 基本趣味の好きなことを、ノルマや予定などに縛られずに、言葉どおり″のんびり″やっています。
 
 平和で豊かな日本です。僅かなお金で好きな物を食べられますし、車も手放さず(走行距離は激減)どこへでも移動が可能。趣味の木工は大して資金もかからず、廃物利用も可能でエコですし。基本、あまり人づきあいもしませんのでストレスはなく、寝ていて見る夢は現役時代の風景が多く(これは不愉快)、早朝適当に目が覚めればそのまま一日がスロースタートします。
 
 もしかしたら、殆どの人にはこんな毎日だと耐えられないかも知れません。
 
 なので、定年退職直後にこのような生活に移行するのは無理なのでしょう。恐ろしさすら感じる。
 
 
 さて、″このような″生活2年経過で3年目に入る私の状態はどうなんでしょう。
 
 住んでいる場所の風景が広大な場所なので、毎日夕時は空を眺める時間と空間があります。新聞やテレビ、ネットなどITツールのお陰で世間からの情報疎外は感じられず、むしろ雑念が減ったことで世界がクリアに見える感覚があり、高い山の上から街の景色を眺めているようです。
 
 退職直後の″何者かからの解放″という条件付き自由ではなく、、ついに3年目にもなると、無条件の自由を感じるようになっています。
 
 これは観念的なものであるので、本当はそんな自由がある筈はないのですが、たった一つの命でしかない自分のあるがままの存在に立っている実感は、実に軽快なものであります。
 
 ここにはむきになっていた自分はなく、悲しむべき現実も楽しむべき出来事にも情緒の大きな振幅は発生せず、町場にいてもかつて山の中で感じていたものと同じものを感じることができるのです。
 
 居ながらにしてのこの自由は、″放浪の自由″のようなものを求めず、あれほどの旅への渇望も沈殿しています。
 
 実は、あることを思いました。
 
 理由はともあれ、最近増えているとされる引きこもりの人たちは、実は、そのようなものと同じ自由の中に生きているのかも知れない・・・。