びーすけ工房でひとやすみ

思うことをびーすけ工房からお送りします。

中国の責任

 アフガニスタンとその周辺の今後
 
 マスコミはアメリカの脱出劇の失敗をやたら報道してますが、まったくに「木を見て森を見ず」報道です。
 
 国連では、カブールに残留する退避希望者の安全確保をタリバンに要請する決議が中国とロシアの反対にあってるようですが、この両国にとって決議を渋る本当の理由はなんでしょうか?
 
 アメリカが撤退した理由を考えると、むしろようやくこの結果に至ったかと、戦後アメリカ史の大きな転機と捉えるのが普通で、これを失敗と論じるのは的外れです。この流れはトランプ政権の段階ではじまっていたのですから、事の是非はともかくトランプのやり残しを始末したに過ぎません。
 
 むしろ、″失敗″とすると、アフガン~中東の今後の在り方の、その出発点の位置づけを混乱させてしまいます。8/31の米軍の完全撤退を祝いの花火を上げて喜んだタリバンにとっては失敗ではなかったのですから。
 
 で、″手を引いてしまった″アメリカは横に譲って、問題は、特に一帯一路を拡張する中国にしてみれば、この地はその沿道脇のエリアで、アメリカよりもはるかに影響を受ける地域であって、、、
 
 故に、対タリバンへの姿勢は慎重にならざるを得ない。
 
 
 ことは単純ではありません。一枚岩でないイスラム社会を相手に、単純に軍事力をちらつかせて圧力を与えればどうにかなる相手ではありせんから、中国共産党の絶対性を傘に、香港や台湾、少数民族を隷属させるような態度では、アメリカの″失敗″の二の舞で、、、、
 
 政治体制、外交、経済援助、場合によっては武器供与、、、、
 
 しかし、その殆どはアメリカもやったことで、日本も中村哲さんを失った、許しがたい矛盾を経験してます。
 
 アメリカと中国の対立は、軍事戦略的覇権争いよりも、やはり経済戦争の側面が大きく、その観点からすれば、中国にとってはアフガンは無視できない地域、
 
 戦後アメリカを中心とする西側同盟は経済発展とともに世界への援助政策と民主化を目指し、戦後日本やドイツの再建のような″成功″と、その後の地域紛争への軍事介入では大きな犠牲を払いながら、、しかし、それでも、それは大国の責任と自負することで、実行されてきました。
 
 
 今後、中国はその責任を覚悟できるのでしょうか?
 

 援助と侵略は紙一重、二律背反ともいえます。
 
 76年前、近代化の行く末に大きな失敗をして、しかし、結果として「平和憲法」という果実を手にした日本は、そんな大国の将来の混沌に、何か示すものあるのではないか、
 
 そんな理念をもつ指導者の出現を待ち望みます・・・。