びーすけ工房でひとやすみ

思うことをびーすけ工房からお送りします。

8000m峰 全14座登頂

 
 登山家竹内洋岳さん。
 
 
 その快挙がNHK特集番組などで紹介されました。
 
 
 オリンピックの金メダリスト程騒がれませんでしたが。
 
 
 そもそも8000mを超越する山を登ることの生命リスクは意外に紹介されていません。ちょっと調べてみると、アンナプルナ(8091m)などは4割の人が命を落としています。
 
 
 そのような山の14座すべてに登頂することは、実は驚くべきことで、世界では29人、日本人では初めてということなのです。
 
 
 竹内さんは登山用具などを手がける企業の所属で、多くの登山愛好家に直接、間接影響力のある人です。そのような社会的ポジションにある人は、山から生還することが使命であるともいえるでしょう。で、尚かつ実績も上げなければならない・・・。
 
 
 番組で紹介されていた、最後の8000m越えとなったダウラギリ(8167m)の、最後の登頂場面に竹内さんの大プロジェクトの意味が見えたような気がしました。それは無酸素で行程がはかどらず、続行することに大きなリスクがともなう場面でした。
 
 
 この偉業を成し遂げるために準備されたもの。勿論、個人の肉体的資質。GPS位置情報、リアルタイム気象データの入手、信頼できるサポートの存在。昔なら得られなかった手段を駆使し、そして竹内さん個人の経験的な蓄積に、起こり得る最悪の事態をイメージ化し、そこにすべての情報を帰納させて、最後に信頼と瞬時の決断によって登頂への扉を開きました。
 
 
 命を懸けての行動でもっとも大切なことは、生還の一語に尽きます。
 
 
 でなければ、その行動の次が無くなってしまうからです。
 
 
 意味ある行動には次が必要なのです。
 
 
 意味あることだからこそ、すべての条件、情報を駆使して、成し遂げたことの継続性を命に託すわけです。
 
 
 これは登山に限らず、人間の行動すべて、個人の命だけでなく、同時に大勢の命にかかわるような事柄には、このような生き方が必要なのだと教えてくれます。
 
 
 個人による偉業ではあるが、そこに連なる多くの人々の願望と熱意、それを実行する人間の情報収集力とそれに基づく危機管理能力。信頼と決断。そして・・・生還。
 
 
 この偉業には、私たちすべての生活に求められることが示唆されていたのだと思えます。