びーすけ工房でひとやすみ

思うことをびーすけ工房からお送りします。

「世界でバカにされる日本人」

 本のタイトルです。ワニブックスからの出版。売れているようです。

 かつて「自虐史観」というのがありました。日本近代侵略の歴史の中での様々な行為を反省し、日本は間違ったことをしてしまった・・・、という態度に対して、「自分の国に誇りが持てなくなる!」という論調で、特に教育現場で使う歴史教科書が自虐的で偏向しているという批判が強くなり、そしてそれが政治の右傾化とともに「日本を取り戻す」というスローガンの下、「日本の素晴らしさ」を見直し、子どもたちにも自信と誇り、愛国心を育む必要があると。海外に向けては「おもてなし文化」を宣伝し、この国の礼節と高いモラルを知って貰おうと。
 
 日本はスゴイ
 
 海外での活動が長い著者は、そんな「幻想」をまっぷたつにして、そんな自画自賛的な作られた論調が、正面から日本を眺める海外の視点からは、今の日本が抱える深刻な問題の前に、むしろ「心配されている日本」に置き換わる・・・。
 
 そして、その「心配」は、本質的問題に目を向けていない日本人全体に向けられています。
 
 ・・・・
 
 私は、この指摘は正しいと思いつつも、そこまで日本人は駄目なのかと、考えてしまいます。
 
 確かに、例えば先進国中最悪の財政状態の日本に、今後起こるであろう様々な危機に、国家的解決能力が残っているのだろうかと、心配はあります。そして、その心配は政府に向けられるのではなくて、70年前に国民が強いられたあの筆舌尽くしがたい犠牲を思い出させるからです。
 
 まさにあの犠牲は政府がもたらしたものではなく、当時の国民の無関心と盲従が招いたものであったからです・・・。
 
 そして、世界がそんな日本を心配するのは、少なからず世界に影響力を持つに至ったこの国が、そのようなことになるときは、世界全体もけっして安穏としては居られない状況になっているかも知れないと思われるからです・・・。

 本当のところ、日本は世界に対して何が出来るのでしょうか?

 関係ないですが、日本開催のW杯セーリング大会開会式でイルカショーを見せてしまう日本人と、これが問題化する世界感覚。私たち自身の身の回りに対する注意力欠如は、独り善がりのおもてなしとは異質なものだと感じます。