びーすけ工房でひとやすみ

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奴隷制国家の復活

 歴史上、貧しい民と抑圧的権力者、権力者のすぐ下に存在する″管理階級″ この社会構造が幾度か形を変えて存在してきました。
 
 70数年前には、当たり前のように「小作制農奴社会」が存在していました。歴史の説明はいちいちしませんが、戦後に「農地解放」があって、日本式の「自立小規模零細農業」が展開し、農協がこれをまとめてきました。戦後アメリカ対日政策の現実系の一つでした。
 
 高度成長とともに農業離れと地方の過疎化が進み、中卒の″金の卵″の労働力が日本を支えてきました。この方々は現在、高齢となり年金を支給されて生活を送っています。
 
 学校を卒業して、一つの会社に終身雇用され、ボーナス、福利厚生、そして定年退職とその翌月から支給される年金。
 
 15年くらい前は、一般公務員で3000万円以上の退職金を受け取っていました。
 
 その退職金が3分の1以上減らされてくる過程で、同時に「労働者派遣法」の改正が行われて、非正規雇用が爆発的に増加してしまいました。
 
 戦後の勤労国民の老後を含めた人生を守ってきた雇用制度、社会保障制度が砂山が崩れるようにむしばまれて、貧しくなった大衆は放置されて、まさに弱肉強食、社会不安が増大する格差社会が出来上がりました。
 
 今国会で騒いでいる年金の問題でさえ、実質上自分のこととして関心が持てるのも、かろうじて正規の厚生年金を受け取り、それをベースに人生を考えられる人たちだけです。
 すでに全労働者の4割に迫ろうとしている非正規労働者の人々の老後は0ベースで考えなければなりません。
 
 0ベースということは、死ぬまで労働者の人生を送らなければならないということを意味しています。

 

 実際、人を70歳まで賃金労働者として雇用させようという次の一手が打たれようとしています。
 
 これは、殆ど形を変えた、戦前の小作社会と同じです。
 
 つまり、歴史用語としての奴隷制社会を用いれば、″準奴隷制社会″の再来ということです。
 
 そして、歴史的に、この状態を克服して市民社会を作り得たのは、その扱いを受けてきた人々の闘争によってでした・・・。
 
 ただし、日本社会はその歴史的経験がありません。戦後民主主義もGHQから与えられたので、知識として民主主義は学んでも、経験的にその厳しさを知らないので、、、
 
 だから、今、何もできないのです。